迅速かつ的確な産業保安規制の遂行に向けて

−「産業保安監督部」の発足について−



原子力安全・保安院 企画調整課

 

 近年、産業事故に対する社会的関心が高まっています。特に、平成15年には、14名が死傷した花火製造所における煙火爆発事故(4月)をはじめとして、8月のごみ固形燃料発電所でのRDF貯蔵槽爆発事故及び石油油槽所における火災事故、9月の製鉄所における爆発事故や製油所のタンク火災等、大規模な産業事故が続発し、情報収集や原因調査、再発防止等に関し、一層迅速、かつ、明確な責任・監督体制の下での対応が求められていました。

 このような情勢を踏まえ、平成16年6月に公布された「鉱山保安法及び経済産業省設置法の一部を改正する法律」によって、平成17年4月1日より、経済産業省原子力安全・保安院の地方組織である「鉱山保安監督部」を改組し、「産業保安監督部」が発足することとなりました。本稿では、この改正の概要と趣旨について説明します。

改組の背景

図1 体制 鉱山保安法に基づく鉱山の保安規制は、現在、原子力安全・保安院本省においては鉱山保安課が、地方においては5つの鉱山保安監督部、3つの支部、1つの事務所が、それぞれ実施しています。

 他方、鉱山保安以外の電気工作物(原子力を除く)等の保安、煙火等火薬類に関する保安、各種高圧ガス設備に関する保安、都市ガス・LPガスの保安、コンビナート防災等の一般産業保安事務については、経済産業局(内閣府沖縄総合事務局経済産業部を含む)が所管しています。

 その結果、鉱山保安規制業務については、主として、中央では原子力安全・保安院本省の鉱山保安課において企画・立案や調整を担当し、地方においても同じく原子力安全・保安院の地方組織である鉱山保安監督部が規制業務の実施に当たるという体制になっています。他方、産業保安規制業務については、主に、中央では原子力安全・保安院の電力安全課、保安課等の産業保安担当各課が企画・立案等を担当していますが、地方においては、原子力安全・保安院とは別の組織である経済産業局の電力安全課及び保安課(北陸支局の電力・ガス安全課、内閣府総合事務局経済産業部の電力・ガス事業課を含む)において規制業務が実施されています(図1中「現行」を参照)。その結果、産業保安規制に関しては、異なる指揮監督系統が並存しています。

 この点、原子力の安全規制については、以前は、経済産業局の電力安全課において、電気事業法に基づく一部の原子力発電設備の検査などを実施していたところですが、平成15年10月の改正電気事業法の施行に伴い、従来、経済産業局が一部実施していた原子力安全規制に係る事務のうち、原子力防災関係事務を除いた事務は、全て原子力安全・保安院及び独立行政法人原子力安全基盤機構に移管されました。この結果、経済産業省の所管する原子力安全規制については、中央及び地方の双方において、原子力安全・保安院長の下で指揮監督権限が一元化されています。

 冒頭にも述べたように、昨今の相次ぐ産業事故などを背景とする産業保安体制に対する社会的関心が高まっている中で、規制当局に対しては、責任の明確化と災害発生時における迅速な対応が求められており、こうした要請を踏まえれば、現在、経済産業局が所掌している産業保安規制事務についても、原子力安全・保安院長の指揮監督下に置き、その責任の一元化・明確化を図る必要があります。

改組の概要

 以上を踏まえ、経済産業局の産業保安部門である電力安全課及び保安課等を、原子力安全・保安院の地方組織である鉱山保安監督部・支部・事務所に統合させることにより、新たに「産業保安監督部・支部・事務所」へと改組することとしました。これにより、図1中の「新体制」に示すとおり、鉱山保安規制、産業保安規制ともに、主に、中央において企画・立案及び調整を担当し、地方においてこれらの規制業務を実施し、かつ、これらが原子力安全・保安院長の一元的な指揮・監督の下で遂行される体制となります。そして、今回の組織改編により、一元化された指揮監督の下、より一層迅速かつ機動的に産業保安業務を行うことが可能となります。

 また、今般の鉱山保安法の改正により、従来、規制の実施機関である鉱山保安監督部等により実施されていた鉱山施設、機械器具等の検査・認可など細部にわたる事前規制は大幅に合理化され、規制体系として他の産業保安規制に近い事後規制主体の体系となります。この結果、鉱山保安とその他の一般産業保安を行政分野として一体のものとすることが可能となり、長期的には、両分野の人材の専門性を有効に活用し、一層的確ないし効率的な規制の実施が可能となります。

 原子力安全・保安院といたしましては、以上の改組・改正により、原子力安全規制と各種産業保安規制の一元的、一体的遂行による両分野の安全の確保という業務目標に向けて全力を尽くしてまいります。

図2 配置図

HOME組織紹介